福岡地方裁判所直方支部 昭和39年(わ)18号 判決 1968年12月13日
主文
被告人入江光雄を罰金二万五〇〇〇円に、被告人塚崎繁雄を罰金二万円に処する。
被告人らにおいて右罰金を完納することができないときは、金五〇〇円を一日に換算した期間、両被告人を労役場に留置する。
訴訟費用中別表一記載の分は被告人両名の連帯負担し、同別表二記載の分は被告人入江光雄の負担とする。
被告人両名に対し公職選挙法二五二条一項の選挙権および被選挙権を有しない期間を三年に短縮する。
理由
第一 罪となるべき事実
被告人入江光雄は自由民主党鞍手支部事務局長として、被告人塚崎繁雄は同党同支部支部長として、昭和三八年一一月二一日施行の衆議院議員総選挙に立候補し当選した野見山清造を支持していたものであるが、
(一) 被告人両名は共謀の上、同党に心を寄せる者達をして同候補を推薦支持させようと企て、同年一〇月一〇日福岡県鞍手郡若宮町福丸二九三番地千田屋旅館に後藤ツイ、吉柳静子、勝屋弥一郎、梅谷トクノ、白石よしの、川波日出之助、勝永増雄、小森馨、木野フユ、奥村利雄および荒牧義人を集め、被告人塚崎が「今度の選挙には野見山清造が立候補することになつたからよろしく願います」との挨拶をし、同候補の選挙運動に関して各一人当り二四三円相当の酒食を提供し
(二) 被告人入江は野見山清造候補に当選を得させる目的で、西野オミおよび花田錦枝と共謀の上、同年一一月一〇日頃次のとおり同選挙区選挙人である川波春子外一二名を福岡県鞍手郡鞍手町新延・川波春子外一二個所に戸々に訪問して、同候補の投票を依頼しもつて戸別訪問をなし
<省略>
<省略>
たものである。
第二 証拠の標目(省略)
第三 法令の適用
被告人両名の判示(一)の所為は公職選挙法一三九条、二四三条一号、刑法六〇条に、被告人入江の判示(二)の所為は公職選挙法一三八条、二三九条三号、刑法六〇条に各該当し、所定刑中いずれも罰金刑を選択し、被告人入江については判示(一)および(二)の罪は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で処断することとし、右罰金額の範囲内で被告人入江を罰金二万五〇〇〇円に、被告人塚崎を罰金二万円に処し、被告人らにおいて右罰金を完納することができないときは同法一八条により金五〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場留置することとし、訴訟費用中別表一記載の分については刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させ、また別表二記載の分については同法一八一条一項本文によりこれを被告人入江に負担させることとし、被告人両名には情状により公職選挙法二五二条四項により選挙権および被選挙権を有しない期間を三年に短縮する。
よつて、主文のとおり判決する。
別表一
証人吉村進、同方尺敏之、同小田島武一、同北崎守勝、同森田友次、同後藤ツイ、同川波日出之助、同留奥勇、同水田好昭、同吉川博康、同浦上孝利に支給した分
別表二
証人吉田タミ、同川波春子、同花田シゲノ、同田中文子、同田中力、同杉園キミヱ、同立野初子、同藤井タネ、同矢津田シマヨ、同藤井ツヤ子、同岡松キヨノ、同福井キワ子、同船津綾子、同高宮鈴子、同花田錦枝、同西野オミに支給した分